第42回  「Girl Talk About Footboll」(2004.11.1)

                                 M.Sunabata

 ある大学のコミュニティーカレッジの講座を終えた後、その授業に同席していた知人達
と食事に出掛けた。

 その知人達は別のコミカレで出逢った、熱烈サッカー大好き集団。当然、食卓を囲んで
の会話は「サッカー」に決まっている。久々に顔を合わせたこともあり、Euro04の話題
を中心に盛り上がった。


 その中でKさんが「ルーニーが画面でアップになると鳥肌が立つわ」というような言葉
を発して身震いした。テーブルにいた5人の内、男性は1人。私も含めて4人が女性で、
みのもんた風に表現すると、若い「お嬢さん」といった妙齢の女性の方々。

 私はルーニーはさほど好きな選手ではないものの、そこまでの感情を抱いてはいないが、
回りの女性陣は首を縦に振っていた。

 ルーニーのような老け顔でああいったがっちりした体格の選手は、ガツガツ行くタイプ
で決して上手くないのが今までの相場。なのにルーニーは技術的に優れているところが気
にくわないというのが女性達の言分なのだ。

 その気持ち、私も判らないことはない。例えば老け顔であってもベルゴミみたいに控え
目で黙々とプレーする、はたまたスコールズのように足元は上手くないけどガッツ溢れる
プレーをすれば、好印象で評価はまた違ったものになる。

 すべての女性がとは言わないまでも、女性がプロのサッカー選手に目を注ぐポイントは、
技術が一流であることは当り前。やはり「顔が命」なのである。


 ピザを摘んで「ここって北イタリア料理って言ってるけど、(南の料理である)ピザは
どうなのかしらね?」と言いながらYさんは、「イタリアの選手は北イタリア出身の方が
カッコイイわ」と続けた。「例えばガトゥーゾなんか」との言葉に、私は「髭を剃るとけ
っこうかっこいいと思うんだけど」と話すと、その髭があって汚らしい感じするのが主に
南イタリア出身の特徴でそこが難点らしい。

 するとAさんが「ロナウジーニョって、あの顔じゃない。でも上手いからこそ愛敬のあ
る顔が愛しく思えて来るのよ」という言えば、皆も「そうそう」と同調した。

 そういうことではと、ポルトガルの話しになった。「ポルトガルって言えば、だいたい
ルイ・コスタ派とフィーゴ派に分かれるわけよ。でも私は断然、ルイ・コスタよ」と熱弁
するKさん。これには私も他の2人も「当然、当然」といった素振で大きく相槌を打つ。

 唯一の男性のFさんが口を挟んだ。「つまりパスの出せるゲームメーカータイプが好き
だってことだよね?!」。女性陣は一斉にFさん顔を向け、「そういうわけではなくて、
ルイ・コスタってすごく顔がいいってほどではないけど、彼のプレーってドキドキするじ
ゃない。そこがかっこいいわけなの」と次々と口にした。

 「それにフィーゴってなんだか男臭さがあってそこがダメなのよ」って、フィーゴが肩
を揺らしただけでDFがフェイントに掛かってコロコロと倒れちゃう上質のマジックを披露
しようと、女心はヘロヘロにならないわけなのだ。

 つまり「有機的化学変化がそこにはあるわけですよ」と、私は訝しげな顔をするFさん
に軽口を言った。


 「じゃー」と、お子さんがサッカーをしていて少年サッカーをよく見ているFさんが女
性陣に質問した。「小柄だけどボール扱いの上手い子供の親に『お宅のお子さん、デコみ
たいに上手いですね』っていうのはどうなの?」と。

 女性陣は今の親御さんがデコを知っているかを確かめて(今の親御さんはWOWOWなど
海外サッカーをよく見てるらしい)こう言った。「お父さんなら嬉しいだろうけど、お母
さんにはちょっと…」。


 少年サッカーに携わる皆さん!お母さんにそのお子さんのプレーをプロサッカー選手に
例える場合は、よく吟味した方がよろしいようで。