日本代表の致命的欠陥

                                  砂畑 恵

 3月28日のウルグアイ戦を見ていて、かなり失望している。

 確かに今の日本代表の中盤は球回しが華麗で、ウルグアイ相手にもボールキープ出来る。

 ジーコジャパン初の試合となったジャマイカ戦でヨーロッパでプレーする中田・中村・
小野・稲本のカルテットがボールを捌くのを観たとき、その華麗さに自分でも異様に興奮
したのを覚えている。それはトルシェ代表の頃から、この4人が同じピッチでプレーする
ことを夢見ていたせいでもあった。

 だがその幻想から徐々に醒めつつある自分がいる。要はサッカーはパス回しで競うので
はなくゴールでこそ競うゲームなのだから。


 仕事でコリア・ジャパンW杯のゴールシーンを分析した際に気が付いたのは、いかに速
くゴール前へボールを運ぶかで得点に結び付いてくるんだということ解った。

 ほとんどのゴールがパスは2タッチまでで出しいる。3タッチなんていうのは稀である。
それにドリブルというと誰もが何度もボールに触っている印象を受けると思うが、実際の
タッチ数はかなり長い距離でも2タッチくらいでパスなりシュートに持ち込んでいるのだ。

 それを考えてみると、ウルグアイ戦での日本の中盤がボールタッチ数は致命的とも思え
るほど多いし、延いてはそれだけゴールが遠ざかるという他ならない。

 それでも2点も取れたという事実を喜ぶべきなんだろうか?ただ忘れてならないのは、
親善試合はW杯に比べれば真剣味が薄いし、日本にとってはホームゲームであり、ウルグ
アイの選手は明らかに旅の疲れを抱えてトップコンディションではなかったという事実で
ある。ウルグアイは2点目を取った時点で、このゲームは2−1で終らせればいいという
感じで流し気味にプレーをしていた。


 スポーツ紙ではウルグアイを引いて守ってきたと書いるところもあったのだが、間違え
ないで欲しい。攻撃重視のブラジル、アルゼンチンのいる南米にあって、ウルグアイはも
ともと攻撃はカウンター型で、簡単に言えばプチ・イタリアともいうべき守り重視のチー
ムなのだ。

 攻撃では前の選手はゴール方向への向き直りがスムーズで素早い。余計なボールタッチ
はせず簡素にボールを繋ぐ。特にサイドにボールを振って、同サイドでフィニッシュに持
ち込む。大きくサイドを変えるのはレコバくらいだ。

 守備はボランチさえ攻撃参加せずに、3バックはそのスタイルを崩さない、ディフェン
スの固さでは一級品だろう。そうでなければ、南米予選で闘うブラジルやアルゼンチンに
対抗出来ない。

 日本代表はボールを持っていたのではなく、逆にボールを持たされるような守備をされ
ていたのだ。それにも拘わらず、ウルグアイ相手にボールをキープすることに酔っていて
は、そうやすやすとはゴールは破れない。

 今の日本代表は技術的にはかなり高い。だが現代サッカーはスピードが命。少ないボー
ルタッチで、どれだけ正確に次のプレーに移れるかが、ジーコジャパンに課せられた命題
だと私は考えている。