天皇杯県予選に出場した県高校トップ4の戦力分析

                                   砂畑 恵

 7月15日に天皇杯県予選にシードされていた高校勢が出場。県社会人リーグのチーム
と激突。40分ハーフとはいえ、大人相手に激しいバトルを繰り広げました。
 選手データーを入手することが難しく、また時間の都合上、全試合をくまなく観戦は出
来ませんでしたので、各校の印象を簡単にレポート致します。 インターハイなどの今後
の試合への参考にでもなればと思います。



前橋東高校

 対戦相手は県1部(現在6位)のレイティーカース。PK戦の末に勝利を逃してしまい
ました。

 前橋東は県大会でもこれといった成績は残してはいませんが、観戦に来ていた方の話し
では、今年のチームには国体代表クラスの選手が4人在籍しているとのこと。
 0ー2の劣勢から2点を奪取したことからも、その力が充実していることが伺えます。
 大きなサイドチェンジを交え、長身FWがポストとなり、2列目が徹底してそのボール
を拾ってシュートまで持ち込むといった、相手を崩す型を持ったチームです。
 今年の各大会で、台風の目となる予感がする程、まとまりのあるチームに仕上がってい
ます。


常盤高校  (フォーメーション4−4−2)

 対戦相手は県1部(現在5位)の三洋電機。前半1ー1で折り返したものの、後半に3
失点と1ー4で試合は負けてしまいました。

 常盤というと、昨年は総体に出場し、選手権では決勝で前橋商業に破れたものの、県高
校サッカー界に新興勢力が台頭したイメージを残しています。
 しかし残念ながら、今年はまだチームとしての完成度は低いように思われます。
 昨年のチームは突出した選手はいない代わりに、チームとしての団結力があり、全員攻
撃・全員守備を貫いてきたチームでした。
 この試合では個人プレーに走り、味方を使うタイミングを逸するシーンが目立ちました。
 またFK・CKの際、遠いサイドのディフェンスに甘さが残っています。三洋の1点目
はまさにそれを突かれた格好となりました。
 しかしゴール中央まで届くロングスローには目を見張るものがあります。
 この夏でいかに戦術をチームに浸透させることが出来るかに、今後が掛かっていると感
じます。


前橋育英  (フォーメーション4−4−2)

 対戦相手は県1部(現在1位)のフォルトナ。0ー3と完敗でしたが、この日見たチー
ムの中では、抜きん出た力を誇示しています。

 FWには高さがないのですがスピードがあり、そこに2列目の選手が絡んできて、起動
力溢れる攻撃を展開します。特にゴール前でショートパスを回して相手を崩しに掛かる攻
撃は、小気味良く感じられました。
 CBの2人は大型で相手にすると厄介です。フォルトナも中央突破では育英のディフェ
ンスを崩せませんでした。
 問題はサイドを突かれた時の対応策を検討する必要があるということでしょうか。どち
らかというと両サイドバックは攻撃主体の選手で固めており、守備面では不安が残ります。
相手にサイドを突破されCBが外に引き出された場合、どうカバーをするのかの約束事を
明確にすることが肝心だと思います。


前橋商業  (フォーメーション4−5−1)

 前半だけの観戦となり、後半の闘い振りは解りませんが、県2部のリエゾン草津に勝利
して、準々決勝に駒を進めました。
 相手との力関係を考慮してか、この日は1トップで試合に臨んでいます。

 前半のみの印象は、ラインコントロールをして、前線とバックの間をコンパクトに保つ
戦術を取っています。
 守備は堅くカバーもしっかりしていて、この点では育英より上手の感がします。しかし
監督はカバーに移る切り替えの遅さを叱咤していました。このことからも解るように、守
備には細心の注意を払うことを選手に植えつける姿勢が伺えます。
 早目にサイドに展開し、外から揺さ振りを掛けるオーソドックスながらも堅実な攻撃が
信条のように見受けられました。
 攻撃と守備のバランスがよく、大崩れすることのなさそうなチームであると思います。