群馬県高校サッカー新人戦レポート

                                  砂畑 恵

 群馬県営サブグラウンドにて県高校サッカーの新人戦準決勝2試合が行なわれた。
 3年生が抜けて新たなチーム構築を目指し始めたばかりということで、ゲーム自体は選
手権大会よりも白熱した展開とはいかなかったように感じる。
 そこで今回は試合の経過ではなく、それぞれのチーム現状や課題を中心にレポートして
いきたいと思う。

 第1試合

           高崎経済大付属 vs 前橋育英

                1  (1−0) 2

                   (0−2)

 第1試合は進境著しい高崎経済大付属と選手権出場校の前橋育英との対戦。高経はトッ
プ下に3枚並べた3−6−1のフォーメーション。前育は中盤をボックス型にした4−4
−2。試合展開は厚い中盤で臨んだ高経が、ゲームのペースを握り、その勢いのまま先制
点を挙げる。ハーフタイムを挟み、前育が速いパス回しとハードプレスを掛けたことで、
高経はボールを支配出来なくなる。12分、16分と前育が得点を重ねると、持久力で劣った
高経は育英に押し切られた。

・高崎経済大付属について

 ペースを握っていた前半は、チームプレーをする時とゴール前で仕掛ける個人プレーが
マッチしていてバランスのよいチームという印象を受けた。

 後半になると相手の速い展開とプレスの前に1つ1つのプレーが雑になってしまった。
スローペースではボール保持の仕方やポジショニングもきちんと出来ていることから、ワ
ンランク速い判断を身に付けていくことが大事ではないかと見受けられた。

 また声による意志疎通が少ないようにも思う。味方への指示やボール回しには欠かせな
い要素なので、この点には留意してもらいたい。

 GKについてだが、ナイスプレーも見せるが時に不安定になったりと、ゲーム内での波
が大きい。特に前への飛び出しのタイミングがよくなかった。チームに安定感を与えるプ
レーを目指してもらいたい。

 持久力などのフィジカル面での弱さがあるので、体力アップも計って欲しい。

・前橋育英について

 今日見た4チームの中では、基本が1番出来ているチーム。声によるコミュニケーショ
ンはもちろんのこと、ボディーシェイプもよい。ボールも半身で受け、次のプレーへの移
行もスムーズであり、後方からボールを受けても、素早く反転して前を向く技術もある。

 ただ全般的にプレーが淡白。セットプレーではマークするべき選手を簡単に放してしま
ったり、パスは回るが漫然としていて、相手に難なくパスカットされる場面が目立った。

 また選手権メンバーと違い、強いキャラクターの選手がいない。こじんまりと纏まって
いる感じがする。技術面では出来上がりつつあるので、リスクチャレンジする仕掛けのプ
レーヤーが欲しいところだ。

 第2試合

             常磐高校 vs 前橋商業 

                2 (2−0)0

                  (0−0)

 第2試合は県大会の上位常連の常磐高校と前橋商業の闘い。常磐はボックス型の4−4
−2。前商はFW一人が引き気味にし、2列目を横に張らせた4−4−2。前半3分、7
分と立ち上がりに連続パンチを喰らわした常磐の一方的な展開。後半27分に常磐が退場者
を出すも、落ち着いたプレーに終始する常磐に対し、数的優位を前商は活かせなかった。

・常磐高校について

 高いラインを保ちオフサイドを奪うという、受け身ではなく攻めのディフェンス。統率
がよく取れており、守備面では4チームの中で1番の安定感を示していた。

 チーム全体で声を掛け合い活気が漲っていた。ただパスをジェスチャーなどで「要求」
するシーンは少なく、コミュニケーションの点ではまだまだ改善の余地はありそうだ。

 問題はDFからのビルドアップ。DFからの前線へのパスは不正確なものが多かった。
攻撃はDFから始まる。この点について向上する必要を感じた。

・前橋商業について

  早々と2点のビハインドを負ったとはいえ、攻撃の突破口を見つけられないまま試合
が終了してしまたように思えた。

 正直、チームとしての基盤が脆弱で、まだチームで機能する段階ではないような感がす
る。

 前半、左サイドバックの攻撃参加には目を見張るものがあったが、そこを相手に押さえ
込まれてしまったら、前商らしい攻撃が影を潜めてしまった。

 マイボールにしてもプレーが慌てており、無理にダイレクトで叩いたり、前線へ不正確
なボールを放り込んでしまったりと、周囲が見えておらずちぐはぐしていた。

 ここまで勝ち上ってきたことを考えれば、高い潜在能力はあるはず。まずは丁寧にボー
ルを繋ぐことから始めるべきかもしれない。また攻撃の型の確立も急務であろう。