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『貝ノ耳』

ゲスト:杉田 愉監督、品田涼花ちゃん、鰐淵晴子さん、坂井昌三さん
杉田 愉監督(以下、杉田)
はい。これが初めとなります。脚本は何本か書いていたんですけれど、「貝ノ耳」が初監督作品となります。
★今日、初めて見させて頂きまして・・・。原色の使い方の素晴らしさ!!!
杉田 ありがとうございます。
★あとは全てが絵になっているんですね。カットが。本当に春、夏、秋、冬と一年を通して撮りあげているんだなあというのが、
映像にも凄い出ています。シナリオという、本来文章から監督の場合入っているわけじゃないですか?それを映像で物語る。
しかもセリフが一つもない。もう全部を削ぎ落として削ぎ落として。前半なんかも特にカメラのアングルも固定で、
冬のジャンプショットにいくまでは、ほとんど動きもなく。これってある種のカケですよね?
杉田 はい、そうでしたね。
★映像からのアプローチに対してシナリオを書き上げるのと映像化する事の大きな違い、相違点というのは?
杉田 そうですねぇ。シナリオの方でも最初の段階から、もともとセリフはなくて。人物の動きであったり、
画面の動きみたいなものも極力・・・。とにかく最小限度に押さえたいと(物語を語る事もそうなんですけど)シナリオの段階から
とにかく字数が少なかったんですね。
映像化する時にも、最小限度の要素で構成することが出来ないか?とは、常に思っていました。
★なるほど。やはり、ご自分で書いたシナリオですから、頭の中でカンペキなビジョンというのが出来あがっている訳ではないですか?
そういう中で、中之条と柏崎を往復してロケーションを探すのは大変じゃなかったですか?
杉田 そうですね。昨日も香川さんがおっしゃっていましたが、土地と映画との関係性というのを僕は普段から考えていまして。
僕は、新潟県の柏崎というところなんですけど、みなさんご存知かと思いますけど、今は地震があったり、ちょっと凶暴な事件があったりで
有名な町になってしまったのですけれども。
海の所が全部柏崎だったんですけど、抽象的な話になるのですけど、柏崎はわりと厳しい絵がそのまま撮れるんですね。
中之条町の方は、皆さんもおわかりかと思いますが、伊参スタッフの方も、あたたかい人柄の方が多いので、映画のトーン自体が
少し柔らかい感じになってしまうので、僕も脚本をガラっと変える可能性も考えていたんですけど、そうすると主人公の老夫婦を
厳しく追い込める事が出来なくなってしまうんで、そこはあえて厳しめに撮ってました。
★なるほど。本当にセリフのない余分なものが全てない・・・。字幕スーパーもいれずに撮りあげました。
今日は、ちょっと子供たちも多いので、監督が描こうとしていた全体の流れを説明していただけますか?これを描きたかったというか。
杉田 はい。シナリオの段階では、わりとこの老夫婦の細やかな気遣いというか、愛とまでは言うのは嫌なんですけど、
そうした想いというのがあったんですけど。僕が伝えたかったのは、絶対に涙を流す方が一人もいない映画を目指したんですね。
脚本の時だと、いくつか感想をいただいて、この場面で「感動しました」とか「泣きました」という風に何度か言われたんですよ。
僕、実は”映画を見て泣いた”というのが一切なくて。どうしても変な、遠くから物事を見るクセがあって。
どちらかというと映画化した「貝ノ耳」は、妻が亡くなってそれからの夫の孤独感というか、そうした物を強く全面に出した気はします。
★そうですか。では、続きまして、お隣の涼花ちゃん。緊張してますか?
品田涼花ちゃん(以下、品田) はい(照笑)。
★涼花ちゃんの登場シーンは、映画では一番初めのシーンですけれど撮影したのは今年の夏かな?
昨年の秋に杉田監督がここで賞を撮りまして、夏のシーンが撮れるとすれば、今年の夏しかないですもんね。
夏休み中?
品田 はい。
★夏休みに撮ったの?
品田 はい。
★柏崎で撮ったのかな?
品田 (照笑)。
★ (笑)。大分、緊張しているようですね。では続きまして、お待たせしました鰐淵さん。
鰐淵晴子さん(以下、鰐淵) こんにちは。
★こんにちは。かなり、難しい演技というか・・・。セリフが一切ない分、逆に「やってみよう!」という思いでしたか?
鰐淵 そうですね。最初本を頂いた時と、また映画としてのシナリオを頂いた時と随分変わって。また現場に行っても
すごくお父様(坂井)と呼んでいいのかな・・・(笑)、やっているうちに、どんどんどんどん変わっていって。
全く全然違うんだというのを、気が付いたんですけれど(笑)。
見た感じは凄く新鮮な映画かなと思います。特に、私が死んでからのお父さんが、私の写真を膝の上で・・・、
あそこで、凄くショックを受けて。
全然わからなかったので、あんな風になるという事は、凄い映像サプライズで面白かったです。
★初めてメガホンを取られました杉田監督の印象は?
鰐淵 はい。もう、凄い何年も監督をされてるような印象を受けました。
★ありがとうございます。はい、では続きまして坂井さんですが。もう渋いですね。映像で見ても実際も。
坂井さんと杉田監督は、実は深い繋がりがあるとお聞きしていますが。シナリオ・センターの・・・。
坂井昌三さん(以下、坂井)
シナリオ・センターに通信教育というのがありまして、その一生徒だったんですね。彼は。
★その生徒さんが去年大賞を取りまして、講師である坂井さんに出演交渉的なものが来たわけですよね。
演技されるという側に立ちましては、どうですか?
坂井 出演交渉というよりも、冗談で言ってたんですね。「誰もやる奴がいなければ、俺がやるか!」と。
そういう話は、伊参のコンクールに出す前から冗談でお話していたんです。
★昔の先生というか講師じゃないですか。演技の注文とかつけ難い部分がありますか?
杉田 ああ、そうですねぇ。どちらかというと、現場では、気持ち的な部分とか内面的な部分とかは・・・。
もうリハーサルとか本読みの段階で結構ガーッと強く、僕のお願いみたいなのを言って、役者さんからも、
こういった感じでという風にやって。現場では、そんなに気持ちの内面的な物というのはないですね。
本当に微妙な立ち位置とか、ちょっと手の位置とか、その位を言うくらいで。
あ、でも桜の・・・ 最後の桜のシーンで、あの日、撮影の日に、僕、全部サクラを燃やしたくて、ラストの所の。
でも、それを僕が言うと、スタッフから絶対OKでないんですよ(笑)。
それで、役者さんから、「桜を燃やしたい」という一言が出ると、もしかしたら撮れるんじゃないかなと思って(笑)。
僕、ひと言、食事中かなんかに「桜、燃やしたいんですよね?」って、坂井さんにチラっと言った事があって。
でも現場では、全然そんな事おっしゃらなかったんで、結局そのままでしたね。
★一年を通しまして、柏崎と中之条を行ったり来たりして撮ったわけですが、実質の撮影期間というのは
鰐淵さんの場合は何日くらいでしたか?
鰐淵 5日間くらいだったと思います。
★主に、柏崎の方の撮影で?
杉田 半々くらいかと思います。
鰐淵 そう。3日間くらいで、半々くらいですかね。
★坂井さんは、冬のシーンも全てのシーン出ていますが。どうですか?
坂井 撮影の期間は短いんですけども、数え切れないぐらい間があるので(笑)。
正確なのは監督の方がわかるかと思います。
★そうですよね。ビジョンというか、こういう風景が揃うまでは撮れないわけですものね。
杉田 はい。それは、あります。
★雪の中に佇む旦那さんのショットが欲しいとか。そうすると、雪が降るまで待つんですものね。
杉田 はい。あの時も、雪の足跡を本当は撮るのがどうしても嫌で。どうしたら足跡を消せるかなと
ずっと考えていて。ヘリコプターとかをチャーターして・・・。いいのかな、こんな事言って(笑)。
上から安全な所で坂井さんを落としたらどうかとか、一部スタッフには言ったんですけど・・・。
頼むからやめて下さいと(苦笑)。はい。
★(笑)。ビジョンは、もっとさらに深い所に持っていたわけですね。
杉田 僕、現場では無茶苦茶な事を言ってしまうので。
★これを機会に、今後とも自分のシナリオを映像化してみたいなという希望とかはありますか?
杉田 はい。今年も伊参の方では、引き続きシナリオを募集しているので、僕も負けじと。
来年は、僕もシナリオを1本書こうかと。小学校が舞台のお話なんで、涼花さんぜひ次回もやって頂けますか?
品田 (笑)。
★ちょっと、考えておりますね(笑)。鰐淵さんもどうですか?次回また杉田監督から依頼がありましたら・・・。
鰐淵 また、ぜひ。
杉田 はい。よろしくお願いします。
★坂井さんは、どうですか?
坂井 えーと、ちょっと考えますね(笑)。
★(笑)。次回は、もっと過酷な撮影になりそうですものね。お話は、まだまだ沢山あるんですけど、お時間になりましたので、
この辺で終了とさせて頂きます。今日はどうもありがとうございました。
主催:伊参スタジオ映画祭実行委員会/共催:群馬県中之条町、上毛新聞社
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