12月「長期社会体験研修アンケート」      
県教育委員会から今年度の長期社会体験研修者に対してアンケートが配られた。今回はそのアンケートの内容をそのまま掲載し、感想としようと思う。


平成15年度 長期社会体験研修者アンケート      群馬県教育委員会学校指導課
※ このアンケートは、現在、長期社会体験研修を受けている方が、その体験をどのようにとらえているかを知るためのものであり、その他の目的に使用するものではありませんので、率直にお答えください。
1 以下のアンダーライン部に記述してください。
(1)氏名       黒岩   晃          (2)年齢      ○○歳                  (3)研修機関名 NTT東日本群馬支店 法人営業部
問2〜10に関してはア〜オからの択一だが、あえてコメントまで書かせていただいた。
2 現在、あなたは今回の研修体験をどのようにとらえていますか。
   ア:大いに意義のある体験である。   イ:意義のある体験である。   ウ:よく分からない。
   エ:あまり意義のない体験である。   オ:まったく意義のない体験である。 
回答:
普段仕事ばかりで、ゆとりのない毎日だったが、この一年間、普段の年よりも少々ゆとりの持てる年だった。そのゆとりのある年に普段考えることのないことをたくさん考えた。授業のとこ、学校のこと、教育のことはもちろんのことながら、家族のこと、子どものこと、世の中のこと……。また、このゆとりの時間を利用して、世間を見つめることもできた。
この研修を通して、教員としては絶対に出会うことのない方々とお会いし、お話しさせて頂く機会を与えていただいたということも、この研修で得られたことだと思う。
本研修の主たる目的は、教員の資質向上ということであると思うが、本研修で「企業がどのようなやり方をしているのだろうか」などということへの研修はもちろんの事、一人の人間としてものすごく成長させていただいたと思っている。この成長こそが、教員の資質向上につながってくるものと考える。
3 今回の研修体験を経て、教育に対する考え方は変化したと思いますか。
   ア:大いに変化したと思う。   イ:変化したと思う。   ウ:よく分からない。
   エ:あまり変化していないと思う。   オ:まったく変化していないと思う。
回答:
私自身、常に「教育は変わらなければならない」「教育を変えていかなければいけない」と考えていた。この研修に参加して、今、社会が本当に求めている人間を作っていくには、やはり、教育の変革が絶対に必要だと確信した。
今までの考え方が大きく変わったということではなく、その思いがより強くなって来たということで、「イ」を選択した。
4 今回の研修体験を経て、学校に対する考え方は変化したと思いますか。
   ア:大いに変化したと思う。   イ:変化したと思う。   ウ:よく分からない。
   エ:あまり変化していないと思う。   オ:まったく変化していないと思う。
回答:
これも問3と同様、自分の思いが強くなってきたということで、「イ」を選択。ただ、今まで、学校というものを内側からしか見ることができなかったが、この研修で、少し離れた場所から学校を見つめることができたこと、また、様々な"保護者の方々"のお話を伺う中で、「親から見た学校」を知ることができた。
5 今回の研修体験を経て、教職という職業に対する考え方は変化したと思いますか。
   ア:大いに変化したと思う。   イ:変化したと思う。   ウ:よく分からない。
   エ:あまり変化していないと思う。   オ:まったく変化していないと思う。
回答:
「教職は、他の職業とは違う」そう思いこんでいた。しかし、どんな仕事でも全く同じだと感じた。
ただし、その聖職と言われる部分に甘んじることなく、聖職と言われる部分に誇りを持って、聖職と言われる部分に傷つけることなく、自信を持ってこれからの仕事に携わっていかなければならないと思う。
6 今回の研修体験を経て、自分自身は変化したと思いますか。
   ア:大いに変化したと思う。   イ:変化したと思う。   ウ:よく分からない。
   エ:あまり変化していないと思う。   オ:まったく変化していないと思う。  
回答:
この一年間の研修を通して変化していなければ、この研修の意味が全くなかったという事になるだろう。特に私は視野の狭い、世間知らずの人間だったので、本当に大きく成長させていただいたと感謝している。
7 今回の研修体験で、児童生徒に対する見方は変化したと思いますか。
   ア:大いに変化したと思う。   イ:変化したと思う。   ウ:よく分からない。
   エ:あまり変化していないと思う。   オ:まったく変化していないと思う。  
回答:
今まで、子どもたちの家庭の中まで見ていこう(理解していこ)と思っていた。しかし、今まではその観察力も表面的なものばかりだったような気がする。各家庭にお父さんがいて、お母さんがいて、それぞれ、会社で働き、家族の時間を持つ……。そんな当たり前のことではあるが、今回の研修でもっと奥底の所まで理解できるようになったのではないかと思えるようになった。また、理解していかなければならないと実感した。
8 今回の研修体験で、保護者や地域の方々に対する見方は変化したと思いますか。
   ア:大いに変化したと思う。   イ:変化したと思う。   ウ:よく分からない。
   エ:あまり変化していないと思う。   オ:まったく変化していないと思う。
回答:
今までは「○○くんのお母さん」「○○ちゃんのお父さん」という見方しかできていなかったのではないだろうか。少々その先を理解していたつもりになっていても、単に「○○会社にお勤め」という程度のものだったのかもしれない。今回の研修の中で色々な方に出会い、お話をさせていただき、お父さんお母さん、また地域の方々がもっともっと、自分の中に大きな存在として浮かび上がってきたような気がする。
9 今回の研修体験で、周囲の教職員に対する見方は変化したと思いますか。
   ア:大いに変化したと思う。   イ:変化したと思う。   ウ:よく分からない。
   エ:あまり変化していないと思う。   オ:まったく変化していないと思う。
回答:
一年間教職を離れ、月に一度の学校勤務日だけ学校にお邪魔した。今まで自分がその中にドップリつかっていた時には気が付かなかったが、外から学校を覗くことができて、いくつか気が付いたことがある。一番感じたのは、「なぜ、こんなに休む間もなく動きまわっているのだろうか」と言うことだ。学校勤務日に久しぶりに会った同僚たちと話をする間もない程だった。せめて夏休みにはゆっくりと話しができるかなあと楽しみにしていたが、その期待も見事に裏切られてしまった。俺も、こんなに忙しそうに動き回っていたんだなあと反省する。もっともっと効率的に仕事をこなし、ゆとりを持って子ども達に接していかなければ、子どもたちだってそれを敏感に感じ取ってしまうだろう。もっと精神的なゆとりを持って子ども達と過ごしていきたいと思った。
10 今回の研修体験を経て得たものを、今後の勤務で活かしていけると思いますか。
   ア:大いに活かしていけると思う。   イ:活かしていけると思う。   ウ:よく分からない。
   エ:あまり活かしていけないと思う。   オ:まったく活かしていけないと思う。
回答:
企業の仕事内容はもちろんのこと、経営のノウハウ、人を動かすテクニック、等々、いろいろなものを活かしていけると思う。しかし、活かしていけるだけではない。この研修に参加させていただいた以上、活かしていかなくてはいけない義務があると思っている。これからの課題は、これをどのように活かしていったらよいかということだ。「企業ではこうでした」「企業の真似をしましょう」では、誰も同調してはくれないと思う。
また、県内で今年度わずか19名の研修生。毎年、これだけの人数の研修員が出たとしても、その意識を広めるにはかなりの時間が必要になってくると思う。これを県内にいかにして広めていくのかということも、我々に課せられた課題になるのかもしれない。
11 以下の質問に簡潔にお答えください。
 (1)民間企業と学校を比べた時、あなたが最も大きな違いを感じた点はどんな点ですか。一点お書きください。
ここではとても挙げきれないぐらい、本当にたくさんの違いがある。「一点」ということなので、民間企業と学校との違いはその目的だということで考えてみようと思う。民間企業の第一の(最終的な)目的は利潤の追求(当たっているかどうかはいささか疑問がありますが)。学校の目的は、子どもたちの育成、成長。この目的の大きな違いは、企業ははっきりとした、具体的な目的であり、学校は分かりづらい、抽象的な目的であるということ。
利潤を上げていくために商品を売る。売るためにお客様を大事にし、商品に関しての研修をし、売るための工夫をしていく。商品イメージを上げていくためにコマーシャルをする。
しかし、学校の目的である、「子どもたちの育成、成長」は、「何を育成すればいいの」「学力なの」「では学力って何」「しつけは学校で教えていくの」いろいろな疑問にぶつかっていく。また、その目標に達したかどうかは、一年二年という短い周期では計ることができない。
ということは、その疑問となる部分をしっかりと捉えていくことができれば良いのかもしれない。ただし、その目的を的確にできない場合は、全てが無駄な努力になりかねないという心配もある。
(2)今回の研修で得たものや感じたものの中で、あなたが自分自身の今後の教職生活の中で最も活かしていきたいと思う点はどんな点ですか。一点お書きください。
最も活かしていきたいのは人を引きつけるテクニック、学級経営のノウハウという部分ではあるが、前の項目で書かせていただいたので、ここではあえて、別のものを上げさせていただこうと思う。
今回の研修で「IT」という部分を勉強させていただいた。勉強させていただいていると「学校はいかにIT化が遅れているのか」ということを感じざるを得なくなる。社内LANの使い方、社内Webの利用のしかた、グループウェアの活用など、様々なIT化を見せていただいた。それを学校現場でも生かし、活用し、時間の省力化を図っていかなければならないと思っている。
また、せっかくNTTさんにお世話になって、ネットワークの勉強をさせていただいたので、インターネット環境を使っていろいろな学校と交流(または授業を)していきたいと考え始めている。今、そんな授業の構想も頭の中に思い描いている。
(3)今回の研修で得たものや感じたものの中で、あなたが児童生徒に最も伝えていきたいと思う点はどんな点ですか。一点お書きください。
企業・会社・社会で働くお父さんお母さん方の姿を伝えていかなければと感じた。犯罪の若年化、一般化してきている現代。その原因のひとつは、親の威厳が失われていることもあると思う。その親の威厳を示すにはやはり、この真剣に働いている姿を見せてあげることだと思う。もちろん直接見せるのは難しい。授業の中で、子どもたちとの会話の中で、そんなことに少しでも触れられるようにしていきたい。
そして、ゆとりの時間を利用した家族との団らんの時間を大切にし、会話を持ち、家族に愛され、家族を愛していくことも、その威厳をより強い、より確かなものへと作り上げていくのではないかと思う。
(4)今回の研修で得たものや感じたものの中で、あなたが周囲の先生方に最も伝えていきたいと思う点はどんな点ですか。一点お書きください。
色々なことを伝えていかなければいけない義務があると思う。その中でも一番伝えていかなければならないのは「本当に今、どの企業も苦しい世の中なのです。」ということだ。公務員として悠々と働いていた私には、今の「不況」という状況を目の当たりにして、本当に驚いた。そして、その不況から抜け出そうと企業内で相当な努力がなされていることを伝えていかなければならないだろう。給料をいただけることをありがたく思い、毎日毎日仕事ができることへの感謝の気持ちを持って仕事をしていかなければ……。(そんなことを理解していなかったのはこの私だけかもしれませんが。)
(注:「NTTさんが…」と言うことではありません。色々な社会を拝見させていただき、そう思ったのです。)
(5)長期社会体験研修に関して、上記以外のことで何か書き加えたいことがありましたら、自由にお書き下さい。
この長期社会体験研修が実施されてから今年で4年目になる。研修者はまだまだわずかであるようだ。とはいっても、そのわずかな研修員のほとんどが、この研修に参加して、何かしらのものを感じ、何かを学校に還元していかなければという使命感を感じているのではないだろうか。しかし、このことを広めていくことが少々難しいのではないだろうか。この研修の報告は簡単なレポートのみ。教育センターで我々の代表が何回か講義を持つようだが、その受講生は極限られた人だけ。何らかの形で、我々のこの研修を広め、理解していただきたい。

ご協力ありがとうございました。