2月「お世話になった皆様へ」
お世話になったNTTの皆様へ
一年間お世話になったNTTの方々へというお手紙の形で書かせていただきます。もちろんNTTさんへの感謝の気持ちもありますが、これは一教員から見た、各企業で働くの皆様へのメッセージだと受け取っていただければと思っています。
子ども達に消費者教育をしていきます
こんなにもたくさんのライバル会社が存在していたということに驚きました。各企業の方々がこんなにも真剣に、自分の商品を売ろうとしている姿、また、自分の会社の商品を本当に熟知し、愛し、アピールしている姿、改めて知ることができました。お客様を大切にしようという気持ちを、消費者としてきちんと理解し、その気持ちに正しく答えていただろうかと反省させられました。と共に、子ども達に対しても、きちんとした消費者教育をしていかなければいけないと感じました。
お客様のことを本当に大切にしていらっしゃる姿は常に感じていました。今まで一消費者として、「安ければいい」と言う気持ちしかなかったのではないかと反省しています。が、やはり、安いだけではないのです。本質を見極める目が必要だったのです。
商店等で研修をしていた研修員からは、買い物に来るお客様の、目に余る行為や態度を非難する報告を聞かせていただきました。「オレは客だ。お前のところの商品を買ってやるんだ。」というような態度。商店で働いている人も、同じ「働く人」であるはずなのに……。
子どもたちが常に「お客様」でいられるように……。
素晴らしい企業人、社会人を育てていきます
会社の中で仕事をしている皆さんのお姿を拝見して、はたして、今の子どもたちが、これだけの仕事をこなしていけるのだろうかと考えてしまうことがありました。今、学校では(社会全体から見ても)、頭ばかりでかくて、何も応用力を持たないような人間を製造しているような気がしてなりません。本当にこのような教育が社会に出て役に立つのだろうかと疑問ばかりです。与えられた問題をこなしていくことしかできず、自ら問題を抱いたり、課題を作り出したりしていかないと、この社会ではやっていけないのではないでしょうか。子ども達が将来仕事をするであろうこの企業で、歯車の一つとしてだけではなく、自ら歯車を作りだし、動きを変えていけるような人間を作り出していきたいと思います。
お子様を、家族の方を大事にしてください
いつもいつも一生懸命にお仕事をしている姿を横目に、さっさと定時に帰宅してしまい、本当に申し訳なかったと思っております。しかし、余計なお世話ではありますが、少々ご家族の方々のことが心配でした。遅くまで残業をなさっていて、家に帰る頃にはお子さんも寝ていらっしゃるのではないかなあ、と……。私の家が、今、子育て真っ最中ですから、「ご飯を食べさせなくていいのかなあ」「お風呂に入れなくていいのかなあ」と、そんなことを考えてしまいました。(と共に、今までいかに自分が仕事人間になってしまっていたのか反省しています。)健全な子ども達の成長には、やはり、お家の方々の大きな大きな愛情が必要なのだと思っています。私は毎年、1学期の保護者会の時に「たくさんたくさんお話を聞いてあげてください。」とお願いしています。
子育ての時間は、長い人生の中から見れば、ほんの数年という短い時間です。たくさん学校のことを聞き出してください。たくさんご自分のことをお話してあげてください。と言っても、決して仕事をおろそかにしてくださいというものではありません。せめて、お子様と関われる時間だけは、たくさんたくさん愛してあげて下さい。きっとそれで満足してくれるのだと信じています。
※とは言っても、これだけお忙しい仕事の中で、お子様とかかわる時間はそんなに保証されていないと思います。時間の問題ではなく、質の問題です。お子様と上質のお付き合いをしてあげてください。(と言いつつ、自分自身への戒めでもあります)
私どもの会社(学校)・社員(教員)をどうぞ信じてください。そして手をお貸し下さい。
最近学校に対しての批判が多いようです。教員による事件・事故・不祥事もたくさん報道されるようになりました。確かに、ちょっと配慮が足りなかった部分も多々あったと思います。
学校にたくさん足を運んでください。学校を、教師を信じてください。そして、学校に是非ともたくさん協力してくださいますようお願い致します。実は学校という所は、そのような声をものすごく欲しがっているのです。そのような力を貸していただきたいのです。宜しくお願いします。
通勤途中お会いした高校生の皆様へ
通勤途上の道で、電車の中で、毎日毎日たくさんの高校生の方々とお会いしました。「最近の高校生は……。」と批判的な声ばかり聞こえてきていたので、いささか緊張気味に高校生の姿を見ておりました。第一日目の通勤電車の中で、目の前にちょっと強烈な身なりの高校生の方が乗り合わせました。今はやりのように、ズボンをだらりと腰の下まで下げ、耳だけではなく鼻にもピアスをつけ、疲れたような態度と話し方で友だちと会話をしていたのです。身なりだけで判断してはいけないと分かってはいるのですが、「やっぱり、高校生の実態は、我々の時代と違うんだなあ」などという印象を持ってしまいました。
しかし、この一年間、高校生の皆さんの姿を見ていてとても安心しました。
通勤電車の中の高校生
いつも同じ電車の同じ車両に乗りあわす何人かの高校生の方々は、自然とその存在が気になるようになり、その様子を時々観察させていただきました。毎日毎日きちんと電車に乗り、暑い日も寒い日も真面目に学校に通っていったようでした。テストの時期には参考書を開き、または、友達どうし問題を出し合ったりして、電車の中でも必死にテスト勉強を続けていました。
一人の男子高校生は会話の内容からして、3年生のようでした。この就職難の中、どこかの就職試験に見事にパスしたようでした。それでも少しも態度を変えず、真面目に真面目に黙々と、残りの高校生活を楽しんでいるようでした。(さすがに最近は卒業を間近に控え、自宅学習期間なのでしょうか?いつもの電車には乗ってこいらっしゃらないようですね。)
こんな気配りをしてくださいました
ちょっとした細かな所に気付き、配慮をしてくれる高校生もいらっしゃいました。
久々の自転車通勤。今まで、車で通勤している時には、「全く自転車は危ないなあ」と思っていたのにも関わらず、自分が自転車通勤になったとたんに、「オレは交通弱者だ。いかなる場合も、オレの方が優位だぞ。」と言わんばかりに、大きな顔をして自転車をこいでいました。いずれの自転車軍団も同じような気持ちで(?)、時間に追われて、必死になって学校・会社・駅に向かっているのだと思います。しかし、その男子高校生は違いました。遠くから来るおじさん自転車を見つけ、「おじさんごめんなさい、ぼくの自転車邪魔でしたね。今よけますから……。」と言うように、ほんのわずかなスペースを、何気なく確保してくださったのです。果たして、おじさんの私はこれだけの配慮ができていただろうかと反省させられました。と共に、とても爽やかな気持ちになりました。
爽やかな高校生の部活集団
また、ある日の帰り道、高校の部活の集団がランニングしている所に遭遇しました。その集団を後ろから追いかけるように、自転車で近づいていきました。狭い道だったし、ちょうど赤信号だから、「その集団の後ろについて、信号を待っていよう。」と思っていたのですが、その集団の後部にいる先輩が私の存在にいち早く気付き、「自転車が来たぞ」「よけろよ」「○○!自転車だぞ」としきりに声をかけていました。先輩としての威厳と共に、先輩としての優しさを持った言葉でした。その声に感動してしまい「ありがとう」の言葉も出ず、さわやかな高校生の姿と対象に、何も配慮のできない悪い見本の大人になってしまったなあと反省してしまいました。
考えてみれば、当然の配慮だと思うのですが、このごろ、そんな配慮ができなくなってしまっていた私にとっては、反省させられると共に、ちょっと心温まる出来事でした。
本当に素晴らしい高校生の方にたくさんお会いできて嬉しかったです。皆さんの作っている、高校の伝統を正しく守っていけるような後輩を育て、皆様の学校に送りだしたいと思います。
「最近の高校性は……。」という批判的な声が聞こえてはきますが、「決してそんなことはありません」とこの場をお借りして世間の皆さんにお伝えしたいと思います。
将来をになってくださる、爽やかな大学生の皆様へ
「小学校の先生は、大学生と関わることはないでしょう?。子ども達がどのように育っているのか、大学生の実態も見ていってください。」との配慮から、NTTさんにインターンシップで来ている大学生のみなさんといっしょに研修に参加させていただきました。また、ボランティアの仕事で大学生の方々と共にインターネット講習会のサブ講師をさせていただきました。「今の大学生は、何の目的意識も持たず、チャランポランだ。」「勉強もせずに、バイトに明け暮れているだけだぞ。」そんな批判も聞こえてはきましたが、そんなことはありませんでした。
はたちそこそこの大学生が、自分のしっかりとした目的意識を持ち、真面目に学業を修めている姿を拝見して、本当に安心しました(というより、自分の学生時代よりも立派な考え方をお持ちのようで、自分自身反省させられました)。ある学生さんは、大人と共に様々な社会活動をしていく中でその大人たちから様々なノウハウ・活力・生き方を学んでいこうではないかという「若者の社会活動支援NPO団体」を設立しようとしていらっしゃいました。すごい活力です。逆に我々大人達が学生さんの中に混ぜていただいて、その力をいただきたいほどです。
就職難のこの世の中、先の見えない不安な将来かもしれませんが、きっとこの不安定な世界を建て直してくださるのではないかという安心を感じました。将来、学校の教員を目指しているという学生さんもいらっしゃいました。どうか、学校の中で、社会の中で、古い考えを持った我々おじさん達に、素晴らしい刺激とやる気パワーを与えてやってください。