ツインリンクを自由に使わせてもらえたら問題無いことなのだが、走行テストをする場所に困るのである。
周回しながらレースと同じ速度のパターンで走れる場所が近所に無い。
今年(2003年)はエンジンの性能アップが課題なので、改造の効果が確認できないと、ただイジリまわして壊すだけになってしまう。
改造作業そのものと同じくらい、評価するという事は重要です。
なんとか40km/hくらいまで加速できる場所はあったので、こんなやり方で評価データを取っています。
これがテストコース。
見てのとおり、この先は行き止まりなので、往来は全くありません。
軽トラに、カウルを付けないサーフライダー(2号車)を載せて行くと、田植え作業と間違われます。
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試験方法
- まず、燃料の初期値を計測します。
燃料タンクにはメスピペットを使用します。
でも、うちの場合は目盛り付きのスポイト(ポリエチレン?製)を使ってます。
安いし割れる心配が無いので。
- ひとりがクルマに乗り、ひとりが押します。
だいたい15km/hくらい、思い切りやれば20km/hくらい出ます。
- ドライバーはスピードメータの速度を読んでからエンジンを始動し、加速します。
速度はレースでの上限を狙います。
- 狙いの速度になったらエンジンを停止し、スピードメータを読んでからブレーキング。
もたもたしてると突っ込みますので。
- 燃料の量を計り消費量を調べます。
- 速度と消費量を記録します。
- これを繰り返します。
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押している様子の写真を載せようと思ったけど、ひとりが乗って、ひとりが押すと写真を撮る人がいないんだよね。
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この結果を集計するとエンジンの効率(エンジンと駆動系のトータルだけど)を評価できます。
指標は、”評価指標の巻” で説明したのと同じ、エネルギーと燃料消費量の比です。
値が大きいほど効率が良いという事です。
燃料消費率(g/PS・h)でもいいけど、エンジン単体ではないし、こっちの方が計算が簡単だから。
厳密に言うと速度域によってエンジンの効率が違うから、毎回同じに加速しないといけないのだけど、
299km/L とか 365km/L のレベルからの改善だから大雑把でも比較になるでしょう。
2002年エンジン仕様
- 1号車…オイルポンプとジェネレータを外して負荷の低減をした程度。
- 2号車…ドノーマル
2003年改造計画
- 2号車もオイルポンプとジェネレータを外し負荷の低減
- マニュアルクラッチ、または遠心クラッチの錘を増やして滑りの低減
- メインジェットの最適化
- ツインプラグ化
- 圧縮比アップ
- 吸気弁停止機構
で、テストしてみました。
エンジンをバラしたり、組み立てたり、テストしたりではなかなか大変なので、改造項目が2つ同時だったり、
一旦改造してしまうと後戻りできなかったりするので、それぞれの効果がハッキリしない部分が多々あります。
まあ結果オーライならいいけど。
結果
主に2号車を使ってテストをしてきたので、そのデータが中心です。
一応、1号車の結果も載せています。
表の日付はテストをした日で、2002年の10月からである。 全国とあるのは全国大会の結果で、”評価指標の巻”
と同じ値を使っています。
クラッチの欄の”4枚”とか”7枚”とかはクラッチウェイトの枚数です。 ノーマルは1箇所あたり4枚ずつ
で、それを7枚入れられるように削って錘を追加しました。
圧縮比はシリンダーのトップを0.8mm研磨してあり、単純に計算すると12になるのですが、実際はプラグを
増やした分空間が拡がっており、その体積は測定してないので、実質的には圧縮比は変わっていないかもしれません。
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まず目立つのはマニュアルクラッチの効果の大きさ。
2001年と2002年の結果から効果が大きい事はわかっていたけど、他の項目よりダントツで効いてるじゃん。
クラッチを換えただけで効率が1.9倍にも上がってしまった。
遠心クラッチの錘を増やすといいと聞いて試してみたけど、それよりずっと効果がある。
なんでみんな遠心クラッチなんだろう?
うちのクルマが重いから、遠心クラッチが滑るのかな? 軽いクルマなら滑らないのか?
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次に効果があるのはメインジェットの交換だ。
試しに#50番を付けてみたけど、ただ付け替えただけでそれ以上のセッティング無しに使えてしまった。
そんな事なら初めから#50番をつければよかった。
でも先にツインプラグ化と圧縮アップをやっちゃたから#50番が使えるようになったのだろうか?
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圧縮アップとツインプラグ化とオイルポンプ除去、ジェネレータ除去をいっぺんにやったけど、どれがどう効いて
いるのか分からない。というより、効果あったの?
今回の結果じゃ誤差の範囲だよなぁ。
これって、いわゆるイジリ壊したってことかしら? ちょっと納得いかない。
でも、アイドリングのときにプラグコードを1本外すと回転が下がるから多少効果はあるのかな?
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吸気弁停止機構も数値上は改善されているけど、これも誤差の範囲かな。
こういったきめ細かいポイントを押さえないと凄い記録は狙えないけど、クラッチにくらべるとチマチマした内容だね。
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いろいろやってみて効率はかなり上がって、改善比は2.7倍になった。(2002年2号車299km/L比)
まあ、かなり誤差もあるだろうけど、2002年よりは記録が伸びそうです。
これを読んでいらっしゃるエコラン・エントラントの方々へ
たのむ マニュアル・クラッチを使わないでくれ!
俺が追いつけなくなるから。
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