エコランカーの燃費向上において重要なポイントはいろいろあるが、中でも転がり性能は非常に重要である。 これについても評価してみたいと思った。 しかし、転がり性能の評価は、広い場所が無いとか、適当な測定機材を持っていないとか、いろいろと障壁があるのだ。 でも なんにも評価できないのもなんだし、駄目で元々、大したデータが取れなくてもいいから試しにやってみようという事で、 データ・ロガー(テープレコーダ)の使い方の練習も兼ねて、テストコース(田んぼの脇)で試験を行ないました。 方法
試験 1 先ずは様子を見るために、1号車と2号車を手で押して加速し、速度推移を比較してみました。
試験 2 次に速度域を変えて2号車でデータを取ってみました。 1号車は都合によりお休みです。
速度がこれだけ急激に低下するのは抵抗が大きいからですが、この抵抗力の大きさを計算するには の式にあてはめればいいわけです。 1秒あたり 0.458km/hの速度低下は、0.127m/s^2 のマイナス加速度で、質量は全重量ですから、 この場合 94kg を代入すれば・・・ あんがい抵抗って大きい値なんですね。 さらに 空気抵抗は速度の2乗に比例し、タイヤの転がり抵抗は速度に関係なく一定とすれば、 試験1と試験2の結果を つかって連立方程式を立てることにより、空気抵抗と転がり抵抗を計算できてしまいます。 めんどうなのでスキップ
この場合、転がり抵抗の中味は計算しないから式なんてどうでもいいけど、要するに速度に関係ないという事が言いたい。 結果1 → 15km/h付近の速度低下率 0.034 m/s^2 → 全抵抗F=94×0.034= 3.15(N)
定数項を計算して
上の式から下の式をひいてしまえば答えがでます。
Cd×S の値を上の式に代入すれば転がり抵抗力も出ます。
車両の空気抵抗を評価するにはCd・Sで十分なのですが、この際だからCdまで計算してみます。 うちのクルマの形状は発泡スチロールのブロックからフィーリングで削り出して作っているので、正確な断面形状は 作った本人でもわかりません。 前面投影はだいたい0.35m^2くらいかな?
あれ? ちょっと大きすぎやしないか・・・ 計算間違っているのかな? でも、12ニュートンの力で抵抗を受けている事に変わりないわけだし ・ ・ ・ いいか それに、いままで聞いていた値と Cd も Fr もオーダーは変わってないし。 まあ、冴えない設計だな。 速度が低い領域ではタイヤの影響が大きいけど、速度が高くなると空気抵抗の影響が大きくなってくるから、 15km/h付近で結果の悪かった1号車は、40km/h付近では案外いいかも。 こんど1号車ショートクルーザーのも測定してみようか。 計算結果をもとに速度推移のカーブを求めると上のグラフのようになります。 精度については判断してください。上のやり方が基準ですので。 上で使った程度の計算式( あとは、仕事W=力F×距離L、の式くらいかな )を組み合わせればエクセルで描けるのですが、 説明するのが面倒なのでここでは省略します。 空気抵抗を語るときに、Cdの値しか出て来ない場合がたびたび見受けられますが、Cdだけでは意味がありません。 いくらCdが良くても前面投影面積が大きくては抵抗が大きくなるから。 車体が大きいほどプロポーション的に鋭い形が作りやすいので、なおさらCdだけでは意味が無い。 エコランカーは、できるだけ小さい前面投影面積にドライバーとパーツを押し込む、という事と、そのうえで空気の流れを スムーズにするという事が重要なので、Cdだけで評価しては駄目です。 比較する際にもCd×Sの値で考えないとね。 つづく |