バルブスプリングの巻
吸排気バルブ

モトアーム・エス のご主人が教えてくれた。
昔のエコランでは、バルブスプリングを弱くする改造がよく行なわれていたとの事。
また別の話としては、昔のモンキーのエンジンは、バルブスプリングが2重になっていて、 ときどきどちらかが折れる事があったらしいのだが、そのときに妙に吹け上がりが軽くなったという。

とても気になる話である。
ウチはまだエコランを始めて間もないので昔のトレンドを知らないが、多くのエコランサイトを見ても バルブスプリングを弱くするというのは見かけない。
エンジンのクランクを手で回すとき、吸気の圧縮抵抗が大きいが、バルブスプリングの抵抗もかなりのものである。
これが軽くなるとエンジンの効率が上がるような気はする。
理論
  • スプリングの強さを変化させた場合、バルブが跳ねない範囲では、バルブ自体の動作は変わらない。
    したがって、スプリングの強さを変えてもバルブ自体を動かすことに消費されるエネルギーは同じ・・・・はず。
  • スプリングを圧縮するのに必要なエネルギーは、スプリングが強いほど大きくなるが、そのエネルギー はスプリングに蓄えられていて、伸びるときにそのエネルギーを放出するので差し引きゼロになる。
    カムがスプリングを圧縮するときは回転の抵抗になるが、スプリングが伸びるときにはカムが回転するのを 助ける。
    したがって、バルブスプリングの強さに関係なく、圧縮エネルギーの収支はゼロで同じ・・・・はず。
  • バルブスプリングの強さが変わると、ロッカーアームがカムに押しつけられる力が変わるので、ロッカーアーム とカムが擦れ合う摩擦力も変わる。
    したがって、バルブスプリングが弱い方が、摩擦力が小さくてエネルギーロスが少ない・・・・はず。

えっ  これだけ?
摩擦が減るだけなの?
クランクを手で回すときにはスプリングが重くて大変なのに、スプリングを弱くしても圧縮する分のエネルギー は少なくならないの?
じゃあ吹け上がりが軽くなった話は気のせいなのか?
昔の人たちがやっていたのも摩擦を減らすだけの狙いなのか?
圧縮を高くするとクランクが重くなるので、スターターのモーターを大きくしなくては回らない場合があるが、 逆にばねを弱くしてクランクを軽くしたら小さいモーターでまわせるだろう。
ばねを圧縮する力の分だけエネルギーは小さくならないのか?



理屈ではあまり効果がなさそうだが、感覚的には効果がある気がしたので試してみる事にしました。
やってみよう
設計
オーム社発行 関敏郎著 機械設計製図演習 3(ガソリンエンジン編) にバルブスプリングの設計に関する内容がありました。  (ガソリンエンジンの設計製図の演習なので、他にもいろいろな事が載っています。)
抜粋すると・・・・
一般に円筒コイルばねの設計上、注意すべきことは次のような事項である。
  1. ばね指数(=平均コイル直径/素線の径)が4〜10であること。
  2. 縦横比はばねの座屈が起こらないため5以下。
  3. 有効巻数は3以上であること。
  4. ピッチは平均コイル直径の半分以下であること。
  5. カムにかかる力の和が常に正であること。
  6. 取付時に弁を弁頭1cuあたり1kg程度の力で弁座に押し付けておくこと。
  7. 弁ばねの固有振動数がエンジンの回転数の5.5倍以上であること(サージングの回避)。
  8. 最大リフト時に、ばねが密着しないこと。線間の間隙は0.2〜0.5mm程度が普通である。
  9. 最大剪断応力があまり大きくならないこと。一般に60kg/mu以下におさえる。
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いろいろあるんですね。
とりあえずノーマルのカブを見本にすれば、問題となりそうなのは5、6、7あたりだが、 5、7に関しては5000rpm以上回さないようにすれば半分のばね力でもいけるだろう。
6に関してはノーマルのばねも相当固かったから、半分にしても弁頭1cuあたり1kg程度はいくだろう。
という安易な判断のもとに設計を終えました。

製作
中里スプリング製作所 に依頼して、ばね力半分のスプリングを特別に製作してもらいました。
スプリングの自由高さ、内径、巻数はノーマルにほぼ合わせています。
ばね高さと荷重の関係はグラフを参照ください。
ばね力半分という依頼に対し、その通りに出来上がっています。
さすがプロは凄いね。
しかも特注なのに値段が高くないのだ。
びっくり。
スプリング力データ

組み付け
組み付けにはバルブスプリングコンプレッサとコンプレッサアタッチメントという専用工具が必要らしい のだが、無くてもなんとか出来ると聞いたのでやってみた。
メガネレンチでリテーナを押しながら、2人がかりでやったらなんとかできました。
専用工具

試運転
手でクランクを回すとかなり軽くなっています。
エンジンを始動してみると特に問題無し。5000rpm以上は回さないように注意しながら。
でも本当はどこまで回して大丈夫なんだろう?
心なしか静かになったような気がします。(あてにならないが)

例によって加速テストを実施。

結果
  • 表は”加速テストの巻”と同じ見方です。
    実験の精度については”加速テストの巻”を読んで各自で判断してね。
  • データは、”2003年エンジン改造内容まとめ”の続きです。
  • テストには2号車・サーフライダーを使用しています。
  • 表中の「効率」の値は、”評価指標の巻”で決めた、運動エネルギー増加分と燃料消費量の比で、値が大きい ほどエンジンの効率が良いことになります。
    要するに、この値を見てほしい。

  おおっ
期待していなかった割には効果があるではないか。
効率の値がバッチリ上がっている。
理論のところで述べた考え方が間違っていたのか?
摩擦が減っただけにしては効果が大きい気がする。
真面目に効果を見積もっていないからその程度の感想しか言えないが。




結論
思ったより効果ありです。

これはいけるぜ!
3号車・ゼンガーのバルブスプリングも交換してしまおう。






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