こんどは材料力学なのだ。 大学時代、流体力学と同様、材料力学もチンプンカンプンだったのだ。 入社試験(永久機関研究所ではない)のときの面接で、材料力学の問題を出されて全く答えられなかった。 でも当時は景気が良くて、人材確保のため合格してしまったのだが。
シャフトの材質は S45Cの焼きならし なので、その引っ張り強度は、 58kg/mm^2以上 である。 とりあえず、車両を地面に置き、ドライバーが乗ったときの安全率は、 約9.7倍だ。 走っているときは知りません。 疲労強度も計算してみました。 但し、走行中の荷重はよく分からないので、静止荷重で車軸が回転した場合です。 疲労破壊とは、材料が繰り返し応力を受けると、外観上はほとんど何らの異状がみられず、ある応力 繰り返し数後に突然破壊したり、き裂が入ったりすることがある。この現象だそうです。 S−N曲線 縦軸に応力振幅、横軸に破壊までの応力繰り返し回数の対数をとって示した図がS−N曲線です。 2号車サーフライダーの車軸にあてはめてみると、走行により車軸が回転することで、先に計算した5.96kg/mm^2 が軸に対しプラス側、マイナス側から交互に加わる。 したがって、この場合の応力振幅 σ a =5.96kg/mm^2であり、平均応力 σ m =0kg/mm^2である。 永久に壊れないといえるのはS−N曲線が水平になるところの応力振幅以下の範囲。 10^7回または10^8回の繰り返し回数を指定して、そのときの応力振幅を疲労強度という。 永久に破壊しない事に対する安全率は次式で表され、各変数をあてはめて計算すると以下の結果になる。 うーん 微妙・・・ この計算だと路面の振動は無視しちゃっているし、加速時のトルクによるねじれストレスも考慮していないし。 これらを考慮したら、安全率は1を下回るんじゃないかな? 安心してずっと壊れないと言えるには、安全率が2以上はほしいです。 各係数の取り方がイマイチわからなくて2通りの計算をしてみたけど、 上の表で安全率が1を下回っていたら、そーっと走っていても永久にはもたないって事です。
よくレーシングカーの設計について、ゴールした直後に壊れるくらいがいいとか言う人がいるが、 これは疲労強度の事なのだ。 あまり丈夫に作ると重くなってしまい、運動性能が低下するので、レースディスタンスでは 壊れない程度に軽くして、性能を目一杯まで上げるのがいいという主旨である。 別の言い方なら、 作ったクルマを地面に置いたとたんに壊れるようでは使えないので駄目。 コースを数周走って壊れるようではリタイヤするから駄目。 ずっと壊れないほど丈夫だと重すぎて勝てないから駄目。 狙い目は、動的な強度としては十分な安全率を確保してあるが、疲労を考えた場合には永久に 壊れないだけの強度は有していないってとこ辺り。 S−N線図の10^7より手前で壊れる程度。 どのくらい手前かの加減が微妙なところでしょうね。 手前であるほど材料に加わる疲労が大きいけど、パーツは軽くなります。 ポルシェはレース毎に新車で臨んだというけれど、これも疲労強度を考えての事でしょう。 まあウチのクルマも永久に壊れないレベルではなかったので、レーシングカー並のシビアな 設計って事でしょうか。 (実際は勘ピュータだけど) レーシングカーの話を出しましたが、やはり、ある程度安全に乗れる車両じゃないとね。 みなさんも強度には注意してください。 ちょっと走ってみて壊れないのと、疲労強度は違いますので。 |