歯周病とプラークコントロール番外編

虫歯タイプと歯周病タイプ

虫歯タイプと歯周病タイプ

 人間が歯を失う原因のほとんどが、う蝕(虫歯)と歯周病(歯槽膿漏)です。この二つはどちらも、決して生理的な現象ではなく、プラークを原因とする病気であることがわかっています。もちろん虫歯も歯周病もひどくなってしまう人も大勢いらっしゃいますが、経験的に、歯茎は大丈夫なのに虫歯がどんどん進んでだめになっていってしまう方と、虫歯はないのに歯周病でぐらぐらになってしまう方がいるようです。これはどのように考えたらよいのでしょうか。
 虫歯も歯周病もプラークが原因ですが、その原因菌は別々のものです。そして口の中には 200~300 種類の細菌が生息しているといわれていますが、その組成は個人によって異なっています。その中で虫歯、歯周病の原因になっている悪玉菌は、そんなに多くの種類を占めるわけではありません。そのため、虫歯菌が優勢な人、歯周病菌が優勢な人で病気の出方が変わると考えられます。したがって、両方とも多い人は虫歯、歯周病ともに重症化するし、両方とも少ない人はお口の中が意外と汚れている割に歯が丈夫ということになります。
 また、患者さんの免疫機能の違いや、唾液の性状(すなわち遺伝子レベルの違い)、食物の種類や食べ方の習慣によっても、どちらの方がひどく発症してくるかが異なる場合もあります。さらに習慣のことでいえば、虫歯菌が少ない人は若いときに虫歯で苦労せず、プラークコントロールの習慣がつかなかったり歯科を受診することがなくて歯周炎に気づかず、中年以降重症化して初めて来院、という場合もあります。
 また、この「タイプ」は移り変わることがままあります。唾液の性質や免疫機能などの体質、生活環境、薬物などにより、あるいは歯周病が進行して根面が露出したために、ひどい虫歯に集中的になってしまい、悲惨な状態になることもあります。
 いずれにしても、重要なのは食習慣を中心とした正しい生活習慣の獲得と、プラークコントロールということには間違いありません。虫歯や歯周病は自分で防ぐ(予防する)ことができる病気なのです。

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