昔の歯磨きのCMで、「リンゴをかじると歯茎から血が出ませんか」という台詞を覚えている方も多いと思います。この頃は、「歯槽膿漏」という言葉が歯茎の病気を表わしていました。 最近ではこれに代わり「歯周病」「歯肉炎」「歯周炎」などなどの名前、また関連して「歯周ポケット」「プラーク」などの言葉も、よく聞くと思います。今回はまず、これらの言葉について説明したいと思います。
歯周病とプラークコントロール
歯周炎、歯周病、歯槽膿漏とは?
歯周組織のしくみ
人間の歯はただ歯肉から生えているわけではなく、顎の骨にしっかりと結び付いて支えられています。
しかし、歯は直接骨にくっついているのではなく、図のように歯根膜と呼ばれるクッション(線維組織)で支えられています。
この歯根膜には神経の末端が来ており、歯に何かが触れたときの感覚をつかさどります。
歯を支える骨は歯槽骨と呼ばれ、歯が抜けるとなくなってしまいます。
歯肉は、これらをおおう線維質の多い硬く丈夫な組織で、ピンク色の粘膜で覆われています。
これらの歯を支える骨(歯槽骨)、歯根膜、歯肉などを総称して「歯周組織」と呼びます
歯周病とは
「歯周病」とは、これら歯を支える組織が侵される病気の総称です。 色々な原因、症状のタイプがありますが、典型的には口の中の細菌が原因の炎症性の病気です。
その最初の症状としては、まず歯肉が腫れます。
この状態を「歯肉炎」といいますが、歯が汚れていると若いうちから発症します。
この歯肉炎の状態をそのまま放置しておくと、やがて歯を支える歯槽骨が溶けて、支えがなくなってきます。
これを「歯周炎」といいます。
この歯肉炎、歯周炎の初期は、ほとんど自覚症状がありません。
そのため、多くの人が気づかずに重症へと進行していってしまいがちです。
それが、歯周病が厄介な病気である理由の一つです。
この歯周炎の重症化した症状のことを、いわゆる「歯槽膿漏」と呼びます。 この歯槽とは歯が植わっている穴、膿漏とは文字どおり膿がもれ出てくることです。 歯周炎が重症化してくると、失われた顎の骨と歯根の間に溝ができ、そこに侵入している細菌によって膿が出てくるのです。 そしてついには歯がグラグラし、痛くて噛めず、抜かなくてはならなくなってしまいます。