歯周病とプラークコントロール

ワンタフトブラシ、電動歯ブラシ

すぐれものワンタフトブラシ

 基本的には口の中のどの部分でも、これまでに紹介してきた道具、方法で清掃可能、すなわちプラークコントロールができます。しかし現実にはどうしても磨き残しが生じてしまう場合が少なくありません。それは特に歯並びや歯の生る方向が悪いところ、歯の欠損があるところ、孤立して生えている歯、ブリッジの部分、特殊な補綴物が入っている所、などです。また患者さん自身の磨く能力、手先の器用さなどもさまざまです。

 そのような場合、ひとつの解決法として最近当院でも多用しているのが、ワンタフトブラシといわれる道具です。これは写真のような、直径5ミリ程度に丸く植毛してある小さなブラシです。また柄の形も、毛先の方向が思ったようにコントロールし易い様にできています。

 ブラッシング指導のときによく言われると思いますが、歯ブラシは常に全部の毛を使うのが良いわけではなく、むしろ「歯ブラシの先」や「歯ブラシのかかと」を使って狙った部分を磨くことが多いのです。ワンタフトブラシは歯ブラシの先を切り取ったような形のものなので、働きの上でも同じような効果が自然に得られます。さらにブラシの毛が密に植毛してあるので、少し力が強くても先が開いてしまうことが少なく、また柄の方向が自然に曲がっているのでとても狙いを定めやすくなっています。時間をかければこれ一本で口の中全体を磨くことも可能ですが、歯ブラシの補助として使ってもらえば非常に効果的な道具です

電動歯ブラシ

 最近はドラッグストアや電気店で、様々な形、機能を持った電動歯ブラシが並んでいます。その値段もピンからキリまで、大きな幅があります。これは使っても良いものか、あるいは使ったほうが良いものか、またどれを選べばよいのでしょうか。

 まずひとつわかっていていただきたいことは、決して万能の電動歯ブラシはない、ということです。考えれば当たり前のことですが、普通の歯ブラシでも電動歯ブラシでも、磨きたいところに毛先が当たっていなければプラークは落ちないということです。必ずそれをわかっていただいた上で、興味のある方は使って頂けばよいと思います。以下に電動歯ブラシの良いところと悪いところをあげてみます。

 良いところ、つまり使用する価値がある理由で最大のことは、動かし方が小刻みにできるということです。ブラッシング指導で、歯ブラシの動きを小さくする、あるいは振動させることが非常に難しいと感じる方が多いようです。電動ブラシの多くは小さな往復運動、あるいは回転運動なので、あとは的確に歯面に当てることに集中すればよいことになります。苦手な動きのひとつを機械に任せることができるわけです。 このことから、歯ブラシで手や肩が疲れるという方にも試してみる価値があると思います。

 悪い点は、まず「磨けた気になってしまう」点です。大きな音や振動で、また歯肉がマッサージされることによって、なんとなくスッキリしたような気がしてしまう場合が多いようです。また、動いている毛先を適切に歯面に当てることは意外と難しいようです(普通の歯ブラシでは、歯面に当ててから動かします)。それに、どうしても手で握る柄の部分が太くなり、細かく歯面に当てることが大変なようです。

 いずれにしても電動ブラシを使ったから「安心」というものではありません。実際に使っているものについても衛生士が指導しますので、遠慮なくお聞きください。

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