欠損補綴の話 義歯編

「歯を入れる」3つの方法/総義歯の難しさ

「歯を入れる」3つの方法

 歯が無くなってしまった「欠損」部分にに歯を入れる治療のことを、欠損補綴といいます。一本の歯のみが無くなった状態から全く歯の無い状態まで、その方法は大きく分けて3つあります。

 1つめは「ブリッジ」。固定性の義歯であり、欠損に隣り合った自分の歯を削って冠をかぶせ、それと一体となった人工の歯を固定します。取り外しはしません。

 2つ目はいわゆる「入れ歯」。普通の入れ歯のイメージとして定着している、人工の歯とピンク色の歯肉の部分からなる、取り外し式の入れ歯です。自分の歯が残っている場合は、それにバネ(クラスプ)をかける等して固定します。

 3つ目は「インプラント」。主にチタン製の人工歯根といわれるものを手術的に骨に埋め込み、そこから人工の歯を立ち上げて咬ませます。
 ここでは義歯、その中でも特に難しい総義歯について詳しく説明していこうと思います

総義歯の難しさ

 口の中に装着する補綴物の多くは、残っている歯に固定源を求めます。単独の冠(クラウン)や固定式の義歯(ブリッジ)では削ってかぶせた歯と一体となります。取り外し式の部分入れ歯では、固定源となる歯にバネをかけて留めるので、ブリッジに比べると義歯の動きはだいぶ大きくなる場合が多くなりますが、正常に機能している状態では、落ちたり外れたりする事はありません。

 それでは、歯が1本も残っていない場合に作られる「総義歯」ではどうやって義歯を止めているのでしょう。簡単に言うと、「気圧」と「口腔周辺の筋肉の力」です。 気圧とは、要するに義歯の内面(顎と接する側)に空気が入らないようにして、義歯が吸い付くようにしているという事です。これには義歯のふち(辺縁)の形や長さが非常に重要です。また筋肉の力とは口唇や頬、舌などが機能する時の力によって義歯を留まる方向に押し付けたり、さらに義歯の周りを塞いで空気が入らないようにする事で、義歯の外側の歯肉部分の形が非常に重要です。

 想像していただければわかると思いますが、このような不確実な力で義歯を口の中の一定の位置に留めておくのは非常に難しい事です。ましてや人の口は、ただ飾りとして義歯が入っていればいいのではなく、様々な食物を噛んだり、飲み込んだり、声を出して話したりする時に非常に複雑な運動をしなければなりません。何気なく作ったり使ったりしている義歯ですが、改めて考えると作る我々もそれを使う患者さんも結構複雑で大変なことをしていると言えます。

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